モータースポーツ用に開発され、ごくごく少数だけが世に送り出されただけで封印された伝説のL型ユニットを復活させよう! |
復活プロジェクト言い出しっぺ「富松拓也」のインサイドレポート |
入社当時からツインカムヘッドのことはある程度知っていましたが、本格的に知るようになったのは組み立て始めてからのことです。倉庫の片隅でバラバラになって捨てられそうになっていたその部品を見て、「サウンドが聞いてみたい。走らせてみたい」と軽いノリで組み立てを始めたのです。1998年の事でした。
当時の資料も殆ど残ってなく、欠品部品があるのかどうかも分からない状況でしたが、すべてのヘッド部品を作業台の上に載せてみたら、大物部品だけは揃っているようなので、「これはイケル」と確信しました。
昼間は通常の勤務をし、夜になるとエンジン再生に費やす日々が始まりました。この当時、国産・外車のエンジン数基をOHした経験があり、同じノリで行けるだろうと安易に考えていたのが大間違い。実際に作業を始めると、やはり手作りエンジンは難しく、調整に次ぐ調整の連続となりました。 |
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夜を徹しての積み込み作業 |
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エンジン積み込みは、仲間のガレージを借りて、夜を徹して行い、一週間ほどで完了しました。で、いよいよエンジン始動、と行きたいところですが、やはりなかなかかからない。カムカバーを開けて良く見てみると、カム山の配列が1→2→4→3になっていることが判明。通常4気筒エンジンは1→3→4→2の点火順序が多いので、そのつもりでプラグコードをつないでいたのが間違いでした。
プラグコードをつなぎ変えるとあっさり始動。始動直後は点火時期を遅らせていたので、デスビを廻して通常付近に持っていくと、これが非常にハイレスポンスなのには驚きました。点火時期が16度〜20度付近で調子いい、というのも驚きでした。この点火時期より進めて行くとエンジンの回り方が重くなってきます。いかにこのエンジンが高効率で燃焼スピードが早いかというのを物語っていますね。アイドリング時のメカノイズはガチャガチャとうるさいですが、ひとたびアクセルを踏むと猛々しいレーシングサウンドに一変。はやる心を抑えて路上に出てみると、意外に低速トルクも太く、街乗りでも苦労しない不思議?なエンジンです。近くのコンビニへ買い物に行く日常から、そのまま踏み込んで9000rpmまで一気に吹け上がる異次元世界まで、実に幅広く楽しめますね。 |
「ツインリングもてぎ」での走行イベントに勇躍エントリー。その結果は? |
復活エンジンを載せたブルーバードで、意気揚々と「ヒストリック・オートモービル・フェスティバルに」参加。楽勝でぶっちぎりだ、と思っていたところに思わぬライバル登場。
それは
右の動画画像にも登場する「赤いS30Z」。2.9リットルでクロスフローヘッドを持ち、公称300馬力を謳ったかつての日産ワークスレース用エンジン、俗に言う「LY型」を載せたツワモノである。これは本気で行かねばと武者震いを覚えました。
TC-16は8500rpm以上でも十分にトルクがついてくるハイ・レブユニットなので、ドライバーには「10,000rpmまでブン回してください」と伝えました。
ドライバーいわく「8500〜9000〜9500と、瞬く間に回転を高めるけど、トルクの落ち込みを感じない。まったく何てエンジンなんだ!調子に乗って10,500rpmまで回しちゃったよ!」と絶賛。
直線で圧倒的な速さを見せつけ、最後までLY搭載の赤いZの追従を許しませんでした。
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TC-16ブルーバード「ツインリングもてぎ」仕様 |
「富松拓也」のプロフィール |
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氏名:富松拓也(とみまつ たくや)
株式会社OS技研
スーパーロックLSD開発担当
入社:1994年 年齢:30歳
愛車:
・
BMW320改 |
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仕様 |
備考 |
車輌 |
ダットサンブルーバード1800SSS(H510) |
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エンジン |
TC-16 |
排気量 |
ボア89φ×ストローク78mm |
サスペンション |
フロント:OS技研オリジナル車高調
スプリング:7k
ロアーアーム:OS技研オリジナル
リヤ:OS技研オリジナルショック
スプリング:14k |
タイヤ・ホイール |
195/55-15 7J-15 |
クラッチ |
OS技研 L4 STR2CD |
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ミッション |
OS技研 直結5速T/M(試作品) |
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LSD |
OS技研スーパーロックL.S.D.(R180) |
TC-16ブルーバードだけのために特注(発売未定) |
ボンネット
トランク |
リスタード製カーボン
http://www.restored.jp/
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